2009年7月5日日曜日

蔵王山の捨て猫

今日の早朝、5時半起きで蔵王山に「かぶと虫、オオクワガタ捕獲作戦」に行ってきた。小学校3年生の娘と1年生の息子が、友達から「蔵王山ではかぶとやらクワガタからがわらわらいるよ」という話を聞いてきたからなのだが、こういう話はとかく大きくなりがちで「一匹、二匹がすぐにたくさん」になったりするから要注意だ。
案の定、山の中を歩くこと三十分、虫などは一切いなかった。虫はいなかったが、代わりに子猫がいた。捨て猫なのだ。ニャアニャアとかわいい声に娘も息子も惹きつけられて一歩も動かない。更には抱きかかえて「連れて帰る」と言い始めた。


その上悪いことに、ウォーキングで通りかかるおばさんが「あら、この猫まだいたのね。二三日前からなのよね。誰か車で来て捨てていったのね。かわいそうに」、おじさんが「こいつもこのままではカラスにねらわれるかもしれんのう」などと、我々が置き去りにすれば「子猫に未来はない」的な状況を作ってくれる。

駄目だ、駄目だ。うちにはすでに手のかかる動物が三匹いるではないか。この三匹の世話だけでも大変(今日だって、そのためにこんな朝早くから蔵王山に来ているのだぞ)なのに、その上子猫などとんでもない…何とか説き伏せようとするが、娘など「かわいそうだ」とめそめそと泣き始める。かなりマズイ状況だが、ここでこの猫を連れて帰るわけにはいかんのだ。そんなことをしていれば、我が家はすぐに動物屋敷になってしまうぞ。


目の前に救わねばならない難民が列を作っているのに、ワクチンと食料は限られた量しかない。そんな状況に直面したNGOの責任者のような気持ちになって、わしは決断した。
「家で飼えない以上、我々はこの子猫をどうすることもできない。どうすることもできない以上、ここにいても仕方がない。この場を離れる」と宣言して、かぶと虫とクワガタの探索を無理やり続行することにした。しかし、30分程度探してみたが、やはり虫は見つからず、元の場所(つまり、猫のいた場所)に帰ることとなった。そこを通らないと帰れないのだから仕方ない。またもや、泣き声がしたらどうしようと心配したが、運の良いことに泣き声はしなかった。子ども達には「あまりのかわいさに、さっきのおばさんが連れて帰ったのかもしれないな」と希望的な観測を口にしたが、実際どうだったのだろうか。あの場に残っていたとして、果たして生きのびることはできるのだろうか、いろいろ気になり、今日の気分は天気同様雨模様であった。

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